自然に抱かれた奥大和からお届けする“里山のめぐみ”
谷を埋めた雲海が去り、果てしなく広がる高く青い空。四季の移ろいとともに、多彩な表情を見せる山々。稜線の向こうに沈む夕日と、漆黒の夜空に輝く満天の星。そんなありのままの美しい自然が残る、奈良県南東部「奥大和(おくやまと)」。私たちはこの地で、食と農の歴史・文化をつなぎながら、豊かな大地に育まれた“里山のめぐみ”をお届けしています。
奥大和について
独自の文化・歴史と豊かな自然に育まれた農産物の宝庫
山岳信仰をもとに発展した「修験道の聖地」、約3万本の山桜が咲き誇る「吉野の桜」で知られる奥大和。後醍醐天皇が南朝を開いた地でもあり、独自の文化・歴史が息づいています。1,000mを優に超える山々に囲まれ、面積の大半を森林が占める一方、穏やかな気候に恵まれる中山間地域では古くから様々な農産物が栽培されています。大台ヶ原で生まれる清らかな水、豊かな土壌、朝夕の寒暖差によって、美味しい野菜やくだものが育ちます。
里山のめぐみ
01_柿
柿と暮らす奥大和の生産者が、手塩にかけて育てる逸品
柿の生産量が日本一の五條市ではかつて、農家の「柿すだれ」が秋から冬にかけての風物詩でした。農家では、一家総出で柿の実をもぎ、皮をむき、母屋や蔵の軒先などに柿を吊したものです。五條市をはじめとする奥大和の人々は、柿の葉や柿蔕(ヘタ)をお茶にしたり、薬代わりの民間療法や繊維などの染料に利用するなどして、柿とともに暮らしてきました。
紅葉の季節が訪れる頃、多くの柿畑がある奥大和の山々は鮮やかな「柿色」に染まります。柿畑が山の頂上から中腹にかけて広がっているのは、柿が日当たりと水はけの良い土地を好むから。収穫時期には集落から柿畑へと続く曲がりくねった細い道を、柿の実を満載した軽トラックが駆け回り、静かな奥大和の集落がにわかに活気づきます。
奥大和は中山間地域のため昼夜の寒暖差が大きく、柿の栽培に適しています。この地で栽培された柿は、深みのある甘みや鮮やかな色づきが特長で、奥大和自慢の逸品です。この柿を原料に作られる干し柿、あんぽ柿は、この地の風土とともに長い年月をかけて生み出された珠玉の逸品といえます。
02_梅
農業を通じて地域を守る。希少な梅の栽培で想いをかたちに
日当たりの良い、山の頂上から中腹にかけて広がる柿畑に対して、山すそから谷あいにかけて広がるのが梅畑です。現在、私たちがとくに力を入れて栽培している梅は、奥大和の在来種である「林州(りんしゅう)」と呼ばれる小ぶりの梅です。林州は、後醍醐天皇が南朝を開くより前から奥大和で栽培されていたと伝えられていますが、近年では「南高梅(なんこううめ)」などへの植え替えが進み、生産量が減少の一途をたどっています。
私たち農悠舎王隠堂と仲間の生産者が、手間のかかる林州の栽培・収穫にこだわるのには理由があります。奥大和の先人たちが大切に守り育ててきた歴史・文化を含めて「地域を守る」こと。そして地域に「豊かで明るい農村」を取り戻すこと。それこそが、私たちが農業を軸にした様々な取り組みを行う理由だからです。私たちは地域の生産者と手を取り合って、希少な奥大和の“里山のめぐみ”である林州を守り、未来に残していきます。
03_野菜・くだもの
身近な野菜・くだものをはじめ、歴史・文化を伝える農産物も
奥大和では、いつもの食卓に並ぶトマト、キャベツ、ナス、キュウリなどの身近な野菜のほか、米やくだものの生産も盛んです。有機JAS認証を取得した農地で育てた、安心・安全な農産物も増えています。とくに農悠舎王隠堂では、紀伊半島の中でも日当たりが良く、温暖な地域で育つミカン、はっさくなどの柑橘類をはじめ、桃やブドウ、キウイなどの栽培にも積極的に取り組んでいます。
現在も数多くの「和漢薬」が製造されている奈良県では、古くから薬草の栽培が盛んでした。王隠堂家でも、江戸時代には薬草を栽培していたと伝わっています。そんなルーツを持つ私たちが仲間の生産者とともに、冷え性や血行不良などへの効果が期待される「大和当帰(ヤマトトウキ)」の栽培を手がけるのは、奥大和という地域と、そこに息づく歴史・文化を守るためでもあります。
農業の新たな可能性をひろげる取り組み
私たちの愛する故郷、大切に残したい里山の暮らし、そして奥大和の農業を未来につないでいくために。農悠舎王隠堂では農産物の生産、加工品の製造・販売だけでなく、地域資源を有効活用した、各種プロジェクトの立ち上げと運営に積極的に取り組んでいます。
その具体例が、古民家レストランや里山暮らしの体験施設の開発運営、里山アクティビティの提供です。私たちは「食」と「農」のこれからをキーワードにしたこれらのプロジェクトを、地域経済の活性化、農業人口や地域雇用の維持、奥大和と他地域の人々の交流などにつなげる一つのパッケージとして展開していきます。
里山のめぐみと暮らしを守り、未来に伝えていくために
農悠舎王隠堂は、奥大和の集落のひとつである五條市西吉野町湯塩を拠点に、農業を営んできました。しかし、この豊かな里山にも、大きな課題が立ちはだかっています。人口減少・高齢化・後継者不足などによる「農業人口の減少」です。すでに、奥大和のいくつかの集落は消滅の危機に直面しており、事態は深刻な状況にあります。
奥大和での有機農業と味の良い農産物、美しい里山の自然と安らぎのある暮らしといった数々の魅力を、一人でも多くの方に肌で感じてもらいたい。そして、地域の存続と活性化に結び付けたい。そんな想いを抱く生産者仲間やその家族らとともに、奥大和を訪れる皆さんを温かくお迎えします。
旬の野菜レストラン農悠舎王隠堂
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天地のテラスゆしお
farm and experience
※ 2021年5月オープン予定